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「ロコモティブ症候群(シンドローム)」について

「ロコモティブ症候群(シンドローム)」とは2007年に日本整形外科学会により提唱された概念で、「運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態」になることです。「ロコモ」とも略され、日本語に訳せば「運動器症候群」となります。

健康寿命(介護を必要とせず、自立した生活ができる、健康に生活できる期間)を少しでも長くするために、日頃から運動を心がけて「運動器の障害」となる疾患を予防することはもちろん、何らかの障害が発生した場合は、我慢せず、できるだけ早く治療を始めることがとても重要です。

ロコモティブ症候群の原因

運動器の疾患

運動器とは、体を支えたり動かしたりする役割をする器官の総称で、骨・関節・靱帯や脊椎・脊髄、筋肉・腱の他、末梢神経なども該当します。 こうした器官の疾患により、痛みや変形、麻痺や筋力低下などが起きると、身体を動かすのに必要な体力やバランス能力などを失ってしまいます。 中でも、原因となる疾病は「骨粗鬆症」「変形性関節症」「脊柱管狭窄症」です。

加齢による運動機能の低下

運動器の疾患が無くても、筋力や持久力・バランス能力の低下、反応速度・運動速度・深部感覚の低下など、加齢により身体機能は衰えてきます。特に下半身の筋肉量が低下すると、移動機能が低下して動き辛くなり、運動不足から更に筋力低下につながってしまいます。

ロコモティブ症候群は寝たきりへの3大要因

厚生労働省の「平成28年度版国民生活基礎調査」によると、「要支援」の主な原因は、1位が関節疾患17.2%、2位が高齢による衰弱16.2%、3位が骨折・転倒15.2%と、運動器障害は1位と3位で32%以上を占めています。
「要介護」の主な原因は、1位が認知症24.8%、2位が脳血管障害18.4%、高齢による衰弱が12.1%となっています。

関節疾患や骨折・転倒などが原因で一旦「要支援」状態になってしまうと、体力や運動機能の衰えが進み、認知症の発症や「要介護」へと進んでしまうケースは少なくありません。

硬膜外ブロック

ロコモティブ症候群の悪循環

運動器はそれぞれが密接に連携して機能を果たしています。そのため、一つの障害をきっかけに、次々と機能低下の障害を引き起こす悪循環を起こしてしまうのです。日頃の運動で悪循環へのステップに乗らないこと、ステップを上がらないための治療を怠らないことが重要なのです。

  1. 40代から要注意!筋肉量・筋肉の低下
    筋肉量は、一般的に40代から減少していきます。日常生活での運動量が減少している現代、運動習慣のない方は特に注意が必要です。
  2. 関節への負担が増加
    体重が増加したり、膝関節を支える筋肉が弱くなったりすると、膝関節への負担が増えて痛みを伴う症状が発生します。
  3. 痛みから運動量の減少へ
    痛みのために運動量が減少。運動が減ると更に筋肉量が減り体重も増加し、膝への負担は更に増加します。
  4. バランス能力の低下へ
    筋力低下はバランス能力の低下へつながり、腰痛や転倒リスクが更に増加。悪循環のループに入ってしまいます。また、運動不足から骨ももろくなり、骨粗鬆症になるリスクも上昇します。