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「関節リウマチ」について

関節リウマチは、免疫の異常により、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。関節の痛みや腫れから始まり、悪化すると関節が変形し生活に支障を来すことになります。女性の発症率が高く、30歳~50歳での発症が多くなります。

当院では、進歩の目覚ましい薬物による治療はもちろん、進行した膝や股関節のリウマチでは、人工関節による治療も行っています。 また、関節リウマチの患者さまには臓器障害や橋本病など他の自己免疫疾患、シェーグレン症候群などの合併症をお持ちも方も多いため、他科とも協力しながら総合的な治療を行っています。

関節リウマチの原因

原因はまだ完全には解明されていませんが、ウイルス感染による刺激と遺伝による体質などにより起こる免疫異常と考えられています。異物を攻撃して身体を守るための免疫ですが、この免疫機能に異常が発生すると、自分自身の身体成分を異物として攻撃してしまうのです。関節リウマチは、関節の滑膜が攻撃されることで起こります。

  1. 滑膜が攻撃されて炎症が起こり、軟骨や骨が徐々に破壊されます。
  2. 炎症により滑膜が増殖し骨や軟骨に入り込み変形させていきます。
  3. 軟骨が無くなり骨の変形が進んで関節が動きにくくなります。
変形性膝関節症

関節リウマチの症状

関節症状

関節リウマチの関節症状は身体の多くの関節に見られますが、症状が出やすいのは手や足の指の関節で、次いで手首・足首・膝や肘の関節です。

  • 関節の痛み・腫れ
    一部の関節の痛みや腫れから始まり、改善や悪化を繰り返しながら慢性化していきます。
    関節痛は雨や寒い日に症状が強くなる傾向があり、左右の同じ関節で発症する特徴があります。
  • 関節のこわばり
    関節の動きに違和感やこわばりを感じるようになります。
    特に朝の起床時や長時間同じ姿勢を続けた後などに強く感じられます。
  • 軟骨や骨の変形・破壊・拘縮
    進行すると、関節の可動域が非常に狭くなり、手足の指の変形や、肘や膝が伸ばしにくくなる屈曲拘縮などが起きます。

その他症状

  • 初期の身体症状
    食欲不振、微熱が続く、倦怠感、体重減少など
  • 皮膚結節
    肘など外部からの力が加わりやすい部分にできるしこり
  • 心膜炎、胸膜炎
    心臓を包む心膜や肺を包む胸膜の炎症
  • シェーグレン症候群
    涙や唾液が出にくくなる症状

関節リウマチの治療

薬物療法

  1. 炎症による痛みと腫れを和らげる
  2. 免疫の異常を抑えて関節の破壊を防ぐ

関節リウマチの治療と言えば「ステロイド薬で副作用が怖い」と思われている方も多いでしょう。しかし近年、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、ステロイド薬以外の新薬が次々と開発され、ステロイド薬は補助的に使われるようになっています。

なかでも、化学的に合成したものではなく生体が作る物質を薬物として使用する「生物学的製剤(サイトカイン阻害薬)」の登場は、治療を一変させたと言えるでしょう。こうした新薬により、従来は難しかった患者さまにも新たな治療への期待が持てるようになっています。

生物学的製剤(サイトカイン阻害薬) 関節を攻撃する「炎症性サイトカイン」という免疫物質を抑制し、関節の破壊を防ぐ高い効果があります。
抗リウマチ薬 免疫の異常を抑制し、関節の破壊を防ぎます。早期の段階から使用します。
ステロイド薬 免疫の異常を抑制し、炎症を沈めることで痛みや腫れを和らげます。
非ステロイド性消炎鎮痛剤 炎症と痛みを抑制します。速効性があります。

運動療法

関節リウマチになると、痛みのため、関節を動かすことが億劫になり、これを繰り返すといざ動かそうとしても関節は動かなくなってしまいます。特に関節の伸びが悪くなり、体全体がうずくまったようになってきます。したがって、傷んだ関節を修復させるためには運動が必要となります。

ただし、関節運動負荷が過度になると、関節の破壊は進行してしまいますので、関節疲労や痛みが残らない程度の運動量でなければなりません。当院では専門知識を持った理学療法士がお一人おひとりの症状を分析し、運動プログラムをご提案します。