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放射線画像診断医の果たす役割

【放射線診断科部長:坪井 慶子】

「体の中から届く“手紙”を、画像で読み解く」

先生、まず放射線診断科のお仕事について教えていただけますか?

はい。私たち放射線診断科の医師は、CTやMRIなどの検査画像を見て、そこに映る情報から病気の有無や状態を診断する専門家です。

近年、機器の進化は目覚ましく、より詳細な画像が得られるようになりました。ただ、そのぶん画像も複雑になって、「この画像は何を意味しているのか?」という新たな課題も生まれています。

昔よりも鮮明に映るからこそ、逆に読み解く力が必要なんですね。

まさにそうです。さらに最近では、高齢化の影響もあり、一人の患者さんが複数の病気を抱えているケースも多くなっています。主治医の先生方も幅広く対応されていますが、すべての疾患を知り尽くすことは現実には難しい。
そんなとき、私たち画像診断医の出番です。

具体的にはどのような場面で活躍されるのでしょうか?

例えば、肝臓の検査で来られた患者さんの画像から、たまたま肺がんが見つかることもありますし、骨折の診察中に偶然、大動脈瘤を発見することもあります。

病気はさまざまなところに潜んでおり、それを見逃さず、主治医に正確に伝えるのが私たちの役割です。体の中から送られてくる“多言語の手紙”を翻訳するような仕事だと思っています。

画像診断に加えて、治療にも関わる先生がいらっしゃるとか?

はい。当院の放射線診断科には「IVR医(アイ・ブイ・アール医)」という専門医が常勤しています。

IVRとは「画像下治療」とも呼ばれ、CTや血管造影装置などを使って、カテーテルなどを体内に挿入し、病気の診断や治療を行う分野です。体に負担が少ないため、一般的な手術に比べて高齢の方にもやさしい医療として注目されています。

痛みや負担が少ないのは、患者さんにとって大きな安心ですね。

そうですね。たとえば、病変部だけに薬を届けたり、膿を体外に排出したりといったことが、傷を大きくせずに行えるのがIVRの魅力です。

検査機器の設備についても教えてください。

当院には128列のマルチスライスCTがあります。CT検査は被曝が気になる方も多いと思いますが、当院の機器には被曝量を抑える最新のシステムが搭載されています。

造影剤を使用する検査でも、撮影条件を最適化して薬剤の量を抑えるなど、できる限り体に優しい検査を心がけています。

MRIや血管造影装置もあるんですね。

はい。MRIは3テスラの機器を使用しており、血管造影装置も備えています。

ただ、必ずしも最新・最高スペックの機器とは言えません。
でも大切なのは「誰にどの画像が必要か」を見極めること。患者さんに寄り添い、最適な画像を提供することを何よりも大切にしています。

最後に、市民のみなさんへメッセージをお願いします。

私たちは、病気を早期に、そして正確に見つけ出すことで皆さまの健康を支えています。
これからも地域の医師の先生方とも連携しながら、市民の皆さまが安心して適切な検査を受けられる環境づくりに努めてまいります。どうぞ安心して、ご相談ください。

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