背景色

戻る

「外科・消化器外科の機能温存手術」について

機能温存手術の考え方

体の機能をできる限り残した手術を

悪性腫瘍の確実な治療と再発防止のためには、広範囲の切除が必要と考えられます。一方で、広範囲に切除したことにより身体の機能が失われ、術後の生活に支障が出る場合があります。

手術による切除範囲は、腫瘍の大きさだけでなく腫瘍の性質や腫瘍のある部位によっても異なり、どうしても広範囲の切除が必要な場合もありますが、必要最低限の手術範囲をどのように見極め、どのような治療でカバーできるのか。この大きな課題に対し、多くの研究や実証が重ねられてきました。
そして現在、医療技術の進歩により、切除範囲を少なくし機能を極力損なわないように手術する「機能温存手術」が可能になってきました。

適切な診断と高い技術で可能となる機能温存手術

体の機能をできる限り残し体への負担が少ない治療を実現するのは、適切な診断と高い技術が要求されます。当院では、豊富な経験と実績を持つ専門医を迎え、患者さまお一人おひとりに合わせたより良い治療をご提供いたします。

常勤病理医による迅速な病理検査で切除範囲を特定

機能温存手術のための切除範囲決定には、術前・術中の病理検査(生検)による診断が重要になります。当院では病理医が常勤しており、迅速な病理診断を行う体制が整っています。

機能温存手術の内容

胃がんの機能温存手術

胃がんの場合、早期であればリンパ節や神経、胃の出口(幽門部)などを残すことで、下痢やダンピング症候群・免疫低下などの後遺症を軽減できる可能性があります。

ダンピング症候群とは

食べ物が一気に腸に流れ込むために起こる状態。冷や汗、動悸、嘔吐などの不快な症状を伴います。

直腸がんの機能温存手術

直腸がんでは、根治性を確保しつつ可能な限り肛門を残して手術をすることで、自然な経路での排泄機能を残すことができます。直腸がんでは、根治性を確保しつつ可能な限り肛門を残して手術をすることで、自然な経路での排泄機能を残すことができます。

人工肛門(ストーマ)とは

便を排泄するために、腸管をお腹の表面に直接出して排泄口にしたもの。便の処理は、排泄口から自然に排泄される便をパウチで受けて処理する自然排便法と、定期的に人工肛門から腸内を洗って排便させる洗腸法があります。

膵臓がんの機能温存手術

膵臓には、消化の働きを担う分泌機能と血糖コントロールを行う分泌機能があります。膵臓全体を摘出すると、栄養障害を起こし血糖コントロールも不良となるため、膵臓の広い範囲に広がっている場合以外は、範囲を限定して切除します。
膵頭(胆管に近い部分)のがんでは、膵頭部に加え、胃・十二指腸・総胆管・胆のうを切除する必要があります。場合により、胃の出口(幽門部)を残すことが可能です。

膵臓がんの機能温存手術