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「人工骨頭置換術」について

人工骨頭置換術は、大腿骨頭を切除し人工骨頭に置換する手術です。
人工骨頭は、生体材料として信頼性の高い金属(チタン合金、コバルトクロム合金)のほか、プラスチック(ポリエチレン)、セラミックなど、摩耗に強く耐久性を高める処理を施した材質で作られています。

人工股関節置換術とは違い、臼蓋側(骨盤側)には手を加えずそのままの状態となります。

人工骨頭置換術について

人工骨頭置換術について

人工骨頭置換術を行う主な疾患

大腿骨頚部内側骨折

高齢者の転倒などで発生することが多く、特に骨粗鬆症が多い女性は注意が必要です。痛みがあり、ほとんどの場合立ったり歩いたりができなくなるため、寝たきりになる大きな原因の一つでもあります。
大腿骨頚部内側骨折は、とても骨のつきが悪い骨折のため、特殊な場合を除き、手術が必要になります。
手術には、折れた骨頭部分を固定する方法と、人工骨頭に置き換える方法があり、いずれを選択するかは、年齢・骨折の状況や・骨の強度などが考慮されます。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭への血流が妨げられて起こる疾患で、骨頭が壊死してしまい、潰れて痛みが出ます。
発生原因は明らかではありませんが、大腿骨頸部内側骨折の後遺症、飲酒、ステロイドの服用、膠原病の合併症などが挙げられます。
症状が軽い場合は経過観察、患者さま自身の関節を温存する場合は骨切り術、それが難しい場合は、人工股関節置換術や人工骨頭置換術が選択されます。

人工骨頭の固定方法

セメントを用いる方法と用いない方法があり、人工骨頭の種類も異なります。
どちらの方法で固定するかは、患者さまの年齢・活動レベル・骨の状態などの状況により判断します。

直接固定法(セメントレス固定)

骨に直接埋め込んで固定する方法です。
埋め込む部分がしっかりとフィットするように、骨の形状を整えて固定します。また、埋め込む部分の素材の表面には細かい凹凸を施した特殊な加工がされており、手術後徐々に、この表面に骨の組織が入り込んでいくことで、骨にしっかりと固定されます。
しかし、しっかりと固定されるには6ヶ月程度必要なため、その間のゆるみに注意する必要があります。

間接固定法(セメント固定)

骨との間に固定材(骨セメント)を使用して固定する方法です。
骨の強度が落ちているご高齢の方に適応されます。当初の固定力は高いのですが、固定剤の経年劣化で固定力が落ちる可能性があります。